第一話


そのまま素早くズボンを下ろすと、ベッドの上で、畑山はボクサーブリーフ一枚の姿になった。
部下の体など見慣れていても、こうして下着一枚の姿で無防備に横たわっている畑山を見ると、岡田の体の一部が疼き始める。
むっちりと盛り上がった胸、くっきりと割れた腹筋、そして、臍の下から徐々に濃さを増しながらブリーフの中に消えている陰毛…。
しばらく手を止め、その体に見入りながら…
この胸に手を這わせ…そっと乳首をつまんでみたら、こいつはどんな反応を示すのだろうかと考えた…。
岡田の頭に妄想が次々と襲ってくる。
「あの、隊長… ? 」
ボーっとしている岡田を畑山が不思議そうに見ている。
「あ、ああ…すまん。その…どうすればうまく着替えさせられるか考えていたんだ…。右腕を先に通すか」
岡田は、心の中を見透かされたような錯覚に、少し後ろめたさを感じつつ、Tシャツの右袖を畑山の腕に通し、さらに顔を近づけながら頭にもシャツを通した。
「うっ… ! つうっ… ! 」
耳元で、畑山の苦しげな声がし、さらに熱い息が岡田の耳たぶにかかる。
「すまんな。すぐに終わるから、我慢しろ」
「はい…、だ…大丈夫、です…ちょっと痛かっただけ、っすから…」
覆い被さるような体勢のせいで、畑山が話す度、その息が岡田の耳から首筋にかかり、岡田の体を火照らせた。
「くっ!」
畑山は、左手にシャツを通そうと岡田が腕を掴むと痛みに顔を歪めた。
「悪い!…左手も痛むんだったな?」
動揺する岡田は、自分の息が荒くなっているのを気取られぬようするあまり力の加減をするのをすっかり忘れてしまっていた。
Tシャツを着せ終わると、今度は下半身にジャージを履かせる作業に取り掛かった。
簡単に足を持ち上げ、片足ずつ通したジャージを上に引きずり上げていく。
「畑山、もう一度、腰を浮かせてくれないか」
「は、はい…あ、その…、隊長、もう、後は自分でやれますから…」
「いいから。無理するな」
そう言って太もものあたりからジャージを上げようとした時、ゴムの部分が股間に引っかかった。
焦った岡田は慌てて上にずり上げようとすると、逆にその膨らみに手が触れてしまった。
「あ…」
その時、畑山が身体をビクッと震わせ微かに声を漏らした。
ピッタリとしたブリーフに押さえつけられている中のモノが硬くなっている。
岡田は動揺する気持ちを押さえるように、そのまま事務的にズボンを履かせた。
「腕…大丈夫だったか?」
岡田は、胸に大きく打つ鼓動を気付かれないよう、できる限りさりげなく訊いた。
「…は、はい…あ、ありがとうございました、隊長…」

畑山の岡田を見る目も、いつもの無邪気な目ではなく…、戸惑っているような気がする。
お互い…口ごもっているところに、ちょうど医師が戻って来た。
「じゃあな、俺は訓練に戻る。先生の言うことを聞いて、安静にしていろよ」
岡田はぶっきらぼうにそういい残し、医務室を出たが…脳裏には、畑山の戸惑いを含んだ表情が焼きついていた。
第一話[完]

第二話予告:
怪我の回復も順調だが、ギプスのせいで訓練に出られなくて退屈だと騒いでいる畑山。
風呂もギプスがあるため、班の隊員たちが手伝う事にしていた。
そんなある日、「やめてください!」と浴室の中から畑山の泣きそうな声が聞こえてくる。
それに「溜まっているんだろ?」というからかうような声が響く。
畑山の身に一体何が!?
医務室で見せた畑山の戸惑いを含んだ表情の意味とは?

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