第四話 |
それから間もなくして、畑山の怪我は完治し、訓練にも復帰した。 だが…それからが岡田にとっての苦悶の日々の始まりだった。 …あの事は、ちょっとした悪ふざけだったんだ。男ばかりの集団ではよくある事だ。 自分にそう言い聞かせても、訓練中も、宿舎内を歩いている時も、つい目が畑山を探してしまう。 さらに、畑山が同年代の隊員たちとふざけているのを見ると、嫉妬までしてしまうのだ。 アイツに惚れたとでもいうのか ? 馬鹿な…アイツはただの部下だ。 そう考え、必死で感情を抑えようとしたが、一度気づいてしまった気持ちに蓋をする事は出来なかった。 俺は…隊長失格だ。このままでは、隊の秩序が乱れてしまう。こんな状態では、命に関わる仕事など出来ない。 このままだと…他の隊員達に迷惑をかけてしまう…。 岡田は悩んだ挙句に決断を下した。 …隊をやめる。 隊をやめて、隊長ではなく、ひとりの男として畑山に気持ちを伝える。 それが岡田の決断だった。 畑山に拒絶されてもかまわない。 こんな状態で隊長としての厳しい任務を続けるよりは、その方がいい。 岡田は、誰にも相談せず、除隊願いを出した。 そして…その時はまだ、岡田も、畑山も運命があんないたずらを仕掛けてくるとは、思っても 見なかったのだ。 - 完 - [小説TOP] |